今回どうしても参加を見送らざるをえなかった「あなた」よりマインド枠としてご紹介いただいた本があります。
了承を得ましてご参加の皆様とともに読書会の面白さを共有できたら嬉しいです。
コメント・画像等送ってくださりありがとうございました。
東野圭吾『手紙』
初出は毎日新聞の日曜版に、2001年7月1日から2002年10月27日まで連載されていたものです。
主人公の直貴には兄、剛志がいます。しかし、この兄は強盗殺人の罪で刑務所に服役中です。
なぜ剛志が罪を犯してしまったのか。一言で言えば、直貴の進学費用を得るためでした。
「弟を大学へ行かせてやりたい」
しかし、兄の愛情は報われないだけでなく、強盗殺人という重大な結果を引き起こしてしまいます。
兄が起こした事件のために、大学進学を諦めるなど、弟の人生も一変します。
弟の人生は、節目のたびに「強盗殺人犯の弟」というレッテルに悩まされることになります。
紆余曲折を経て直貴は就職先と妻子に恵まれますが、そこでも兄の一件で周囲との関係に悩むことになります。
これが引き金となり、直貴は刑務所にいる兄に絶縁を告げる最後の手紙を書くことを決意します。
(いわゆる「ネタバレ」になってしまうので詳細は伏せますが、ストーリーの随所に、兄弟間で手紙のやり取りがあります。)
ストーリーの終盤(第五章)で直貴が勤務している家電量販店の社長の言葉は、直貴に問いかけます。
「正々堂々、というのが君たち夫婦のキーワードのようだから敢えて言わせてもらうよ。その、いついかなる時も正々堂々としているというのは、君たちにとって本当に苦渋の選択だろうか。私にはそうは思えないな。わかりやすく、非常に選びやすい道を選んでいるとしか思えないが」
我々が日常生活を送る上でも「正々堂々」真正面からぶつかっていくという手段を選択しない場面は、仕事でも遊びでもあると思います。
「戦略を練る」という言葉が当てはまるでしょうか。
直貴の妻は、自分自身の経験から「逃げない」「正々堂々」をしばしば口にします。
「理不尽に真正面から立ち向かう」といえば確かに勇ましく格好いいのですが、それが必ず正しい方法だとは限らない。
家電量販店の社長の言葉は、私たちにも考えさせるものがありました。
これまで読書会に参加されていて今回も!の枠からどうしても断念せねばならなかったお気持ちをマインド枠でいくばくかを還元できるだろうかと思いますが、折に触れて色々なあなたを推していけたらと思っております。
今回も読書会では本の面白さ、あなたのチョイス、読書の魅力を存分に語って聞くことができました。
読書会あなたと推し本はこれからもちょいちょい皆様の読書環境に絡んでいけたらと思っております。
どうぞ推しの一冊を!!!
※帰り道、お祭りか何か?山車に遭遇…くま!!!